ご存知ですか?「印鑑」は「ハンコ」の丁寧語ではありません

日常でよく目にする「印鑑」についての話題。
長く日本に根付いているため、時には大きく誤解されていたり違った解釈をされていることも多々目にします。
それらを印鑑の専門家として幅広く取り扱うのが当ブログの1つの役目とも考えていますので、今回もそんなトリビアな話題に触れてみたいと思います。

2016年9月12日に公開し2020年4月19日にリライト、また2024年3月16日再度、2024年4月5日に改めてリライトしました。

「ハンコ」と「印鑑」は混同しやすいけれど全くの別物

多くの方がこれらの用語について誤解しているかもしれません。
「はんこ」と「印鑑」、それぞれをどのように捉えていますか?

  • はんこ=よく使われる、手軽なものという印象。
  • 印鑑=どことなく高級感がある、または公式な場面で使うものという印象。

また、こんな風に考えている方もいるでしょう。

  • はんこ=日常語
  • 印鑑=丁寧語

しかし、実はこれらは大きな誤解です。

「ハンコ」と「印鑑」そして「印影」

「あれ?印鑑がない」そう思ったあなたはさすがです。
実は「ハンコ」や「印鑑」の他に「印影」というのがあります。
そして「印鑑」は以下になります。

「何が違うの?」そう思われるのも仕方ありません。
ややこしいですね^^;

そのため正しい名称を以下に記しますね。

正)
ハンコ=本体(印章ともいう)

印   鑑=役所や銀行に登録した印影
印   影=ハンコを捺したもの

そのため今後もし「ハンコ」を丁寧に表現したい場合は「印章」という言葉を使うのがが正解です。
鈴印で「印章」というフレーズを多用している理由もここにあります。

正)
ハンコ=印章

「はんこ」と「印鑑」の間違った使い方

では参考に間違った使い方もご紹介しておきます。
以下のどれが正解でしょう?

1.「ここにハンコを捺してよ」
2.「こちらに印鑑を捺していただけますか?」
3.「印鑑をお持ちください」

1.の「ここにハンコを捺してよ」が最も正確な表現です。
ここで重要なのは、丁寧かどうかではなく、用語の正確さです。
ここまで理解すると、よく聞く3は間違いであることがわかりますね。

ちなみに私自身の経験談をお話しすると、いきなり以下のような文書が届きました。
理由は車の速度違反だったんですが。

(2)お持ちいただくもの
①印鑑(ただし、シャチハタ印は使用できません)

間違いが多すぎです。

×印鑑→印章
×シャチハタ→シヤチハタ(「ャ」が間違い)
×使用できません→印鑑も使用することはできません

だからその際はこんな対応をさせていただきました。

印鑑持ってきました♡

詳しくは以下のブログをご覧ください。

最後に

再度まとめておきます。

印   章=本体(ハンコともいう)
印   鑑=役所や銀行に登録した印影
印   影=ハンコを捺したもの

今回のブログを通して「はんこ」と「印鑑」の違いについて正しく理解していただけましたでしょうか。

もちろん一般的には「印鑑を持ってきてください」でも通じるのでご安心ください。
逆に「印章を持ってきてください」って言われた方が、一般的には通じないかもしれません。
私も決して「それは印鑑ではありません!印章です!」なんて言いませんのでご安心ください。

むしろ店頭などで「はんこ」を「印鑑」と呼んでいただくのは嬉しかったりします。
大切に考えてくださる気持ちが伝わりますので。

そんなわけでこれからも「はんこ」「印鑑」「印章」という言葉を使うたびに、この小さなトリビアを思い出していただけましたら幸いです。
そしてもしこの話題が皆さんの興味を引いたなら、ぜひこの知識を周りの人とも共有してくださいね。
漢字と歴史と文化が交わると想像以上の科学変化が起こるのが、日本語の面白いところです。
言葉の奥深さを知る楽しさを、一緒に分かち合えたら嬉しいです。

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