彫刻編/彫刻方法について知ろう

印鑑の彫り直し(改刻)の全工程

印章の彫り直しの全行程について解説します。
※ここでは印鑑の彫り直しのことを(改刻)として統一します。

大切な印材が
どのようにして生まれ変わるのか?
雑に扱われないだろうか?
本当に綺麗になるのだろうか?
不安に思う方もいらっしゃいます。

そのためここでは彫り直しの全行程をご紹介します。
全貌がわかることで不安が払拭されましたら幸いです。

 

(改刻)手彫り印章彫刻作業

最初に結論から申し上げますと、通常の手彫り彫刻の前に「印面を削り落とす作業」を追加するだけになります。

ところがこの「削り落とす作業」が、多くのお店で改刻を躊躇する理由にもなっています。
なぜなら出所のわからない素材をお預かりして加工するには、リスクが伴うからです。
天然物が多い印材の一番の敵は「熱」になります。
熱によってヒビが入る可能性があるんですね。
そして印章を彫る=常に熱が加わる作業でもあります。

そのためここでは「削り落とす作業」に注視してご紹介していきます。

彫刻面は、切り落とすのでなく、削り落とします

彫り直しの前に、すでに彫刻されている部分を、そっくり切り落とすと考えられる方が多いようです。
上記画像のように、電動ノコギリなどで彫刻面を切断し、平らになった部分に新たに彫り直す。
もちろん印面部分を残して切断することも技術的には可能ですが、印材に最も熱の負荷がかかってしまいます。
そのため印材の劣化が激しく耐久性を落とし、また別途費用も発生してしまうため、おすすめしていません。

そのため実際には切るのではなく、削ります。

一気に強い熱が加わらないよう、表面からコンマ数ミリ単位の深さで段階を経て、薄く薄く削っていきます。
都度印材にかかっている熱を指先で確認し、熱くなっている場合は冷えるまで待ちます。
この感覚が印材によって、またその個性によっても違ってくるため、慎重に進める大切なポイントです。

印面を整える


上の工程で、まず彫刻面を削って平にします。
ところがこの状態では、印面がザラザラで綺麗に捺せる印になりません。
そのため段階を経て平らにしていきます。

具体的には木賊(とくさ)を呼ばれる、サンドペーパーのような専用の道具を使います。

左が新しい木賊、右に行くほど使い込んだ木賊で、一番右はもうすでに15年選手です。
使い込むほどに目が細かくなり、印面が綺麗に磨き上げることを可能とします。
つまりここでも熱が加わることがわかります。

また中には彫刻されていない印材をお持ちの方もいらっしゃいますが、その場合もほぼ同様の工程を経ています。
なぜなら持ち込まれるほどんどの印材はそのままでは使えず、面擦り作業は全てにおいて必須になるからです。

このようにして印章として使える状態になるよう丁寧に加工をするところが、最初の工程になります。
その後の流れは、通常の手彫りとほぼ同じになりますので、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

最後に

以上が手彫りの改刻作業工程になります。

お客様がお持ちの印材がどのような状態かを見極め、それに応じて最適な工程を経て完成させます。
彫刻工程は’ほぼ’同じと書きましたが、実際には印材によって1回の作業時間を短くするなど、新規のものよりも感覚を開けて彫る必要があります。
常に「熱」を意識しながら彫るのが、改刻の一番の特徴になります。

他にもチタンや石材など手で彫れない印材もありますが、その場合は機械になります。
硬い素材は熱の影響は受けませんが、一方で機械の性能や面擦り加工、また文字の制作技術によって完成は大きく異なります。
いずれにしても鈴印の場合、全てが一級印章彫刻技能士が携わっていますのでご安心ください。

このように改刻は、非常に繊細な技量が必要になります。
鈴印では創業より、この改刻を積極的に行ってきました。
そのため長年に渡るノウハウが積み上がっていますので、自信を持って対応させていただきます。

もしお手元に使わなくなった大切な印材がございましたら、ぜひご検討ください。

 

彫り直しのご注文はこちらから

 

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