ここでは鈴印が誇るKF印章ケースについて解説します。
印章ケースと言ってもピンからキリまで膨大な種類が存在しますが、その中でも最高峰がKFケース。
なぜなら印材に合わせ、1つ1つ職人さんの手によって作られたものだから。
KFケースの種類だけでなく、他のケースとの比較もご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
ここを読めば、きっとあなたもKFケースの魅力に取り憑かれるはず。
KF印章ケースは、職人さんのオールハンドメイド
最高峰のワニ革
まずケース職人の深田さんが作られるKFケースの一番の特徴は、手作りであるということ。
現在では印章ケースも機械化され、規格に合わせた各パーツを組み立てる流れ。
対してKFケースは、1つ1つ印材に合わせて作っている点が大きく違います。
細かく言えば印材は、1本1本サイズが微妙に異なります。
それに合わせて型を用意して組み上げ、それはまるであつらえた靴のように見事にフィットします。
また金枠や土台になる型にも大きな特徴があり、その効果はしっかりと重厚感のある開け閉めの心地のみならず、極上の音色を奏で、その都度良いものを手にした満足感に包まれます。
KF印章ケース製作所さんは、テレビ番組「和風総本家」にご出演されました
ケースを手掛ける「KF印章ケース製作所」さんは、2017年4月に高級印章ケース専門店として、和風総本家でご紹介されています。
こちらのページには番組紹介の一部が載っているので、以下に引用させていただきます。
密着!東京下町24時。職人さんがベニ松の内側を削り、カンナで外側を削る。つづいて穴を開けトカゲの革を貼り、赤い別珍を貼り付ける。丸い部品をはめこみ金具を取り付けて、印章ケースの完成。KF印章ケース製作所は創業当初から印章ケースを専門に作っている。先代から受け継いだ大切なことはケースを閉じるときの音。この音を生み出すため側面を斜めに削っている。
ちなみにKFケースでも、多くはプラスチックの型を使用しており、ここで紹介されているベニ松を削る工程は、KFケースの中でも最上級のワニ革に採用されています。
閉じるときの音にも触れられていますが、これが快感の一言。
店頭でも実際にサンプルを手にしていただいていますが、みなさん感激されるほどです。
詳しくは後述します。
大正元年に創業された「KF印章ケース製作所」は、現在3代目のご兄弟お二人でケースの制作をなさっていて、聞くところによりますと先代もケース店で10人ほどの方々と一緒に修行をされていたほど、由緒正しい経歴を持たれています。
ちなみにKFのネーミングの由来は「ケースの深田」の頭文字から取られているとのことでした。
KFケースの種類
ここまででKFケースの概要を伝えてきましたが、次に詳細についてご紹介していきます。
印章ケースは、革・金枠・内張・型・肉池の5つのパーツで構成されています。
その中から、鈴印として希望の組み合わせで制作していただいています。
全体がイメージしやすいよう、先に選べる種類をパーツごとにご紹介します。
ワニ革
選べるパーツは以下。
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表革 クロコダイル(ワニ革)・リザード(トカゲ革)・ゴート(山羊革)・カーフ(牛革)
金枠 ニッケル/燻加工/福輪・ニッケル/燻加工・ニッケル
内張 鶴亀・青フラッシュ・エンジ・赤
型 木型・プラ型
肉池 牙蓋・セル蓋
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組み合わせによって約200パターンにもなる選択肢の中から、鈴印セレクトを象牙のグレードによって異なる仕様でお願いしています。
象牙のグレードは(中・上・上上・特上・極上・特別仕様)
では次に、それぞれのケースごとの仕様を見てきましょう。
1.トカゲ革+ニッケル枠+セル蓋(中用)
象牙(中)用
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表革 トカゲ革
金枠 ニッケル
内張 エンジ/エンジ
型 プラ型
肉池 セル蓋
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・表革にはエキゾチックレザーの代表で、かつキメ細かやで上品なトカゲ革を使用
・金枠は光沢のあるニッケルを使用することで、しっかりとした締め心地を実現します
・内張の底側・蓋側ともにエンジの別珍を張り、ややシックでカジュアルな装い
・プラ型をプラ型を使用する事でコストを抑えています
・朱肉を入れる肉池部分の蓋はセル蓋と呼ばれる、パールがかった光沢で高級感を感じさせるプラスチックを採用
2.トカゲ革+ニッケル枠+セル蓋(上用)
象牙(上)用
上記の(中)用との違いは、内張のみ。
(中)用がエンジ×エンジなのに対して、こちらは蓋側が鶴亀になりゴージャスな雰囲気を感じさせます。
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表革 トカゲ革
金枠 ニッケル
内張 鶴亀/エンジ
型 プラ型
肉池 セル蓋
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・表革にはエキゾチックレザーの代表で、かつキメ細かやで上品なトカゲ革を使用
・金枠は光沢のあるニッケルを使用することで、しっかりとした締め心地を実現します
・内張の底側には、落ち着いた雰囲気のエンジ別珍を採用
・内張の蓋側には、縁起の良い鶴亀模様(天地が逆に見えるのは、印面が地面と考えるKFならではのこだわり)
・プラ型をプラ型を使用する事でコストを抑えています
・朱肉を入れる肉池部分の蓋はセル蓋と呼ばれる、パールがかった光沢で高級感を感じさせるプラスチックを採用
3.ワニ革+ニッケル枠+セル蓋(上上用)
象牙(上上)用
上記の(上)用との違いは、外革とベースになる型。
(上)用がトカゲ革なのに対して、こちらはワニ革で更なる高級感を感じさせ、1つ1つ材料に合わせて木をくり抜いた型を使用。
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表革 ワニ革
金枠 ニッケル
内張 鶴亀/エンジ
型 木型
肉池 セル蓋
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・表革には世界三大高級レザーの1つ、ワニ革を使用
・金枠は光沢のあるニッケルを使用することで、しっかりとした締め心地を実現します
・内張の底側には、落ち着いた雰囲気のエンジ別珍を採用
・内張の蓋側には、縁起の良い鶴亀模様(天地が逆に見えるのは、印面が地面と考えるKFならではのこだわり)
・1つ1つ材料に合わせて削りだす、木型を採用
・朱肉を入れる肉池部分の蓋はセル蓋と呼ばれる、パールがかった光沢で高級感を感じさせるプラスチックを採用
4.ワニ革+燻枠+セル蓋(特上用)
象牙(特上)用
上記の(上上)用との違いは、金枠の加工と、内張の色。
(上上)用がそのままのニッケル枠なのに対してこちらは燻加工を施し、また内張はアイボリーと最も相性の良いネイビーで、更なる高級感を実現しました。
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表革 ワニ革
金枠 ニッケル/燻加工
内張 鶴亀/青フラッシュ
型 木型
肉池 セル蓋
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・表革には世界三大高級レザーの1つ、ワニ革を使用
・金枠はニッケルに燻加工を施し、高級感をアップ(今後入手困難になる恐れあり)
・内張の底側には、象牙と最も相性の良い、濃紺の青フラッシュを採用
・内張の蓋側には、縁起の良い鶴亀模様(天地が逆に見えるのは、印面が地面と考えるKFならではのこだわり)
・1つ1つ材料に合わせて削りだす、木型を採用
・朱肉を入れる肉池部分の蓋はセル蓋と呼ばれる、パールがかった光沢で高級感を感じさせるプラスチックを採用
5.ワニ革+燻枠福輪付+セル蓋(極上用)
象牙(極上)用
上記の(特上)用との違いは、金枠に「福輪(ふくりん)」と呼ばれる装飾が施されている点。
僅か1ミリに満たない装飾ですが、輪がつながる細かい細工と、ひとまわり大きく見える目の錯覚で、ワンランク上の存在感を醸し出します。
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表革 ワニ革
金枠 ニッケル/燻加工+福輪付
内張 鶴亀/青フラッシュ
型 木型
肉池 セル蓋
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・表革には世界三大高級レザーの1つ、ワニ革を使用
・金枠はニッケルに燻加工を施し、高級感をアップ(今後入手困難になる恐れあり)
・内張の底側には、象牙と最も相性の良い、濃紺の青フラッシュを採用
・内張の蓋側には、縁起の良い鶴亀模様(天地が逆に見えるのは、印面が地面と考えるKFならではのこだわり)
・1つ1つ材料に合わせて削りだす、木型を採用
・朱肉を入れる肉池部分の蓋はセル蓋と呼ばれる、パールがかった光沢で高級感を感じさせるプラスチックを採用
6.ワニ革+燻枠福輪付+牙蓋(特別仕様)
特別仕様
上記の(極上)用との違いは、もはや残りわずかな牙蓋。
ちなみに鈴印の通常の極上用は、セル蓋になります。
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表革 ワニ革
金枠 ニッケル/燻加工/福輪
内張 鶴亀/青フラッシュ
型 木型
肉池 牙蓋
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・表革には世界三大高級レザーの1つ、ワニ革を使用
・金枠はニッケルに燻加工を施し、高級感をアップ(今後入手困難になる恐れあり)
・金枠に「福輪」と呼ばれる綱模様の加工が施される
・内張の底側には、象牙と最も相性の良い、濃紺の青フラッシュを採用
・内張の蓋側には、縁起の良い鶴亀模様(天地が逆に見えるのは、印面が地面と考えるKFならではのこだわり)
・1つ1つ材料に合わせて削りだす、木型を採用
・朱肉を入れる肉池部分の蓋に牙蓋と呼ばれる象牙の蓋がつく
ベースの型の違い
ここまでで鈴印仕様のKFケースについてお伝えしてきましたが、ご覧いただいた通り違いのほとんどは革と色。
また大きな違いにベースの型がありますのが、見た目に現れていないため補足しておきます。
●型の種類
KFケースの型は、プラ型と木型に分かれますが、大きな違いは量産されるプラ型と手作りの木型という点です。
印材は1本1本微妙にサイズが異なります。
とはいえある程度の規格に収まっているため、ほとんどはプラ型でも十分です。
ただし、靴に例えると分かりやすいのですが、やはり自分の足に合わせてあつらえたものは、しっくり来て痛くなりません。
印章も同じです。
やはり完全に合わせたオーダーメイドは、印章をより丁寧に優しく包み込みます。
●音
和風総本家でもご紹介されていました「音を出すために斜めに削っている」のが、この木型ですね。
真っ平ではなく角をそれぞれちょっとづつ削って絶妙な角度を作り、音を出しているそうです。
また車の剛性のようにケースにも剛性があり、それにより開閉時の音が変わります。
強く弾力の少ないプラスチックと、弾力の大きな木型。
驚くことに同じプラ型でも他メーカーと異なる上、木型になるとさらに上質な極上の音色を奏でてくれ、良いものを手にした満足感に包まれます。
この型が同じでも音が異なる理由は、ニッケルの金枠の影響によるものです。
金枠の違いは後述します。
音は文章で表現しにくいため、動画でお送りします。
金枠の違い
左が他社製ケースで、右がKF。
●成分の違い
他社製がクロームメッキを使用しているのに対して、KF製はニッケル。
そのため開閉時の感触に差があり、KF製の方が弾力を感じられます。
みなさんのお手元にも印章ケースがあると思いますが、開閉時にそれよりもかなりしっとりした感触を得られます。
●色の違い
見た目の比較を極端に表現すると、他社製がややシルバー気味であるのに対して、KF製はややゴールド気味。
そのためなんとなく温かみがあり、その雰囲気が象牙と非常に相性が良いのです。
●形状の違い
枠の角をご覧ください。
左の他社製に対して、やや丸く角が取れています。
工業製品と手作り品が違いが最もよく現れていると思います。
また肉池のパール蓋も、ちょっとの違いですが、大きく印象を変えてくれます。
上下が分かるよう形状が異なっています
写真を見ると左側が太めに、また右側が細めのカーブを描いているのが分かります。
右側が頭つまり朱肉を入れる部分になりますが、手で持った時にどっちが上か分かるようにあえて形状を変えています。
また重量バランスも計算し尽くされており、中身に印章が入った状態で水平になる配分。
だから逆に印章が入っていないと、傾いてしまいます。
本当知れば知るほどに凄いです。
最後に
鈴印が印材のみならず、自信を持って誇れるのが印章ケースです。
その理由がお分かりいただけたかと思います。
KFケースを標準で設定しているのは象牙のみです。
これは全て手作りにこだわっているため。
日本でただ1人の手作業で切り出せる職人さんがとった印材を、日本で唯一のケース職人さんが作ったケースで纏い、全て手作業で彫る。
そしてみなさまにお届けしています。
私たちのこの想いを実現するために、どうしても欠かせないケース職人さん。
この技術の凄まじさと驚きがみなさまに伝わりましたら嬉しい限りです。
ここにも人の歴史と想いがたっぷりと詰まっています。
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