彫刻編/彫刻方法について知ろう

ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?

ご存知の方も多いかもしれませんが、印章(ハンコ)は彫り直すことができます。

まずはじめに、印章の彫り直しについて、よく耳にする疑問をご紹介します。
「ハンコを彫り直すのは縁起が悪いのですか?」
「首をはねるのと同じで、良くないと聞いたのですが、本当ですか?」
というご質問です。
このブログでは、そういった疑問に答えつつ、その由来にも触れてみます。

 

ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?

結論から申し上げますと、印章の彫り直しと縁起の良し悪しは全く関係ありませんのでご安心ください。

そもそもハンコの彫り直しが縁起が悪いとされるのは、その考えが1970年頃に広まったとされていますが、実際には印章を彫り直して問題が起きたという話は聞かれません。
私たちの経験上も、創業より彫り直しを推奨しており、職人時代にはそのような迷信を耳にすることもありませんでした。
もし印章が人体に例えられるとするなら、「首」ではなく「足」ではないでしょうか。

多くの印章職人や長く印章に携わる方々は、印章の彫り直しをむしろ正統な方法と捉えています。
実際、先代の印を継承することは素晴らしいこととされています。

 

印章の「彫り直しは首をはねる」と言われ出したのは印相と関係がある

では、なぜ「首をはねると同じ」という表現が生まれたのでしょうか。
それには、印相学という易と印章を組み合わせた考え方が関係しています。

印相学は、印章に対する新しい文化を創造しようとする過程で、既存の篆書との差別化を図り、「この印鑑は印相が良くない」といった風潮が広がったのです。
彫り直しは、印章にヒビが入るリスクを伴うこともありますが、それを避け、新しい印を作ることにつながるとされています。

私自身の経験では以下のようなことがありました。
とある有名なそのような印鑑を扱う易者の方がご来店。
豪快に笑いながらこんな風に話されました。

「あんなのインチキだから。だから私は自分の印はこちらで作るんです。
だって一番縁起が良い印って、結局こちらの印ですからね。」

縁起が良いかどうかはわかりませんが、なかなか強烈なインパクトのある内容でした。

 

最後に

印章にまつわる迷信や俗信に惑わされることなく、大切にされていた印章を継承し、その価値を認識することが重要です。
「困った時は、どこかの神様よりご先祖様」という言葉があるように、先代が大切にしてきた印章には、特別な想いが込められています。
それを引き継ぐことによって、その価値をさらに高めることができるでしょう。

以上が、「ハンコの彫り直しは首をはねるのと同じだから縁起が悪い?」という話についての見解です。
先代が大切にされてきた印章なら、その想いと共に引き継いでください。
このブログが、皆さんの不安を少しでも解消する助けになれば幸いです。

またもしお手元にそんな印がありましたら、以下をご一読ください。

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