ここでは印材の中でも最も希少な、マッコウクジラの印材について解説します。
鯨の印材は希少なだけでなく、強度や模様においても象牙を凌ぎます。
現在国内でもほとんど在庫がなくなっているマッコウクジラ、一度手にするとその魅力に取り憑かれる方が続出しています。
マッコウクジラの印は歯です
マッコウクジラの印は、歯になります。
人間の歯は、象牙質と呼ばれます。
つまりそれらは象牙に非常に近い特性を持っていることがわかります。
クジラにも種類が多くあり、マッコウクジラはイカや小魚を主食とする世界最大の肉食動物ですから、歯があるハクジラに属します。
ちなみに歯がないクジラはヒゲクジラと呼ばれ、プランクトンなどが主食。
つまり全てのクジラに歯があるわけではありません。
参考ですがマッコウクジラの歯は、下顎のみに左右各20~30本の円錐形の奥歯があって、1本の歯は重さ1kg、長さは20cmに達します。
上顎は口を閉じた時に下顎の歯が入り込むための窪みなっており、噛むためではなくかぶりついて丸飲みするためのものになります。
そうして採れたマッコウクジラの歯を大切に使用して、印章になっています。
マッコウクジラ印が貴重な理由
こちらは過去にソールドアウトになり、それ以降5年以上探しても見つからない75ミリ丈×21ミリ鞘付きの印材です。
ではなぜそれほどまでに希少なのか。
そもそも鯨は象牙と比べて、需要と供給の関係から製造数が少ない点が挙げられます。
しかも商業捕鯨が1986年から中断しており、その間にも在庫量は激減していました。
また最近のニュースでは、2019年に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、7月1日から商業捕鯨再開しました。
ところが操業は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)内に限っている上、商業捕鯨の捕獲枠の設定しているため、採れるのはイワシクジラ、ニタソクジラ、ミンククジラなどのヒゲクジラに限られています。
詳しくは水産庁のサイトをご覧ください。
そのためマッコウクジラが含まれるハクジラは一切採れず、印材も使いで生産できない状況が続いています。
つまり、現在国内に残っている印材のみという状況には一切変化がありません。
鯨の歯の印の特徴
希少価値
マッコウクジラの印章は、今や貴重品にもなりつつある象牙よりも遥かに希少性が高いです。
詳しくは前述したとおりですが、そもそも扱っているお店も少なく、何よりその中でも最高級品と呼ばれる素材に関しては、入手することすら困難です。
硬さ
印章の材料には様々な種類がありますが、その中でもトップクラスの硬さを誇るのが象牙になります。
しかし鯨の歯は、その象牙すらも遥かに凌ぎます。
とにかく硬くて、職人泣かせ。
その硬さゆえ刃物の痛みも早く、あっという間に滑って彫れなくなってしまいます。
そのため何度も研いでは彫ってを繰り返す必要があります。
捺印の精度
捺印の良し悪しは彫刻方法が最も大きく、次に素材の影響を受けます。
最も精度が高い素材は、象牙とチタンになりますが、マッコウクジラも同等となっています。
使い込むほどにピタッと紙に吸い付くように進化していく様は、天然素材ならでは。
お求めいただいた全てのお客様から「こんなに綺麗に捺せるんですね」とのお言葉が、それを証明してくれています。
最後に
思い返せば当該ページトップ画像の最大の鯨は、HP掲載を躊躇うほどの希少品でした。
現在も各方面に同等のみならず、様々なサイズの状態の良いマッコウクジラを打診中ですが、思うような回答がなかなか返ってこない状態が続いています。
世界最大の肉食動物の一部という、興味を持たれる方が多いのもマッコウクジラの特徴です。
かなり高価な一品ではありますが、見つけたらお早めのご決断をオススメします。
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