ここでは、象牙が牙から印材になる工程をご紹介します。
実際に目の前で職人さんが作業している様子を取材してきましたので、どのような流れになっているか一目瞭然です。
また機械で切り出す場合と、全て手で切り出す両方をまとめましたので、その比較も興味深いですね。
素材の良さだけでなく製造工程まで理解することで、さらに魅力が増すことでしょう。
象牙の製造工程〜機械編
こちらはでは、大手のメーカーさんの工場を取材した際に撮影した、動画を主体にご紹介していきます。
玉切(たまぎれ)
まずは象牙を、印材に適した長さに輪切りします。
印面磨き
電動ノコギリで切るので、断面が非常に荒いため、研磨機で印面側を磨き上げます。
切断作業
次に印材の直径サイズごとに切り出していきます。
荒削り
この段階では角が立った六角形のような形のため、円柱形に研磨します。
この段階の印材はまだザラザラしています。
そしてこの後、最終研磨を行います。
印面付け
次に印面側を、再度平に磨きます。
機械に近づきすぎて、最後ぶつかっちゃいましたけど・・・
バフ掛け
こうして丁寧に磨き上げられ、問屋さんや全国の印章店に送られます。
象牙の製造工程〜手作業編
こちらでは鈴印がお願いしている職人さんを取材した際の、写真にてご紹介していきます。
象牙の切断
まず最初に、象牙を中心付近で切断します。
象牙は長く弧を描いているので、端を万力に挟むと、片方が天井に向かい作業がしにくいのです。
つまりその後の作業を行う際の、ハンドリングを良くするための最初の工程です。
ここでも手で触れながら無駄のないギリギリを感じ取ります。
玉切(たまぎれ)
次に必要な印材の長さに応じて切断します。
一般的な60ミリの場合は62ミリほどにして、その後彫刻師が面丁などの印面を平らにする工程を行っても、60ミリを下回らないように少しだけ残します。
彫刻師の作業を意識し、彫りやすいよう調整していきます。
ニス塗り
加工する際に熱が加わったり、また乾燥などによるひび割れを防ぐため、ニスを塗ります。
墨掛(すみかけ)
輪切りにした象牙ごとに、目的の大きさや形をとるために、レイアウトを決めていきます。
これこそ手作業の醍醐味で、高品質で綺麗かつ、少しも無駄なく印材がとれるよう最適なレイアウトを設計します。
印材切断
墨掛で作ったしるしに合わせて、ノコギリで切断していきます。
寸分の狂いも許されない、正確な作業です。
木端切り(こばきり)
印材の外側に残る余分な個所をノコギリで落としていきます。
皮切(かわきり)
さらに形を整えるため、ヤスリで削り落としていきます。
旋盤加工
印材を旋盤という機械にはさんで、棒状の印材の形に仕上げた後、頭、印面を形付けます。
バフ掛け
最後にバフ掛けをして丁寧に磨き上げ、完成です。
最後に
機械作業と手作業、それぞれに良さがあります。
機械作業はやはり、数が多く作れますし、コストも抑えることができます。
逆に手作業は、象牙の素材に向き合いながら、個性を最大限に引き出すことができます。
製造工程は異なりますが、いずれも象牙に対して真摯に向き合い、また非常に大切に扱われています。
やはり印材の最高峰である、象牙を扱う自負があるのでしょう。
そんな背景にある物語を知ることで、一層その素材に愛着を持っていただけたら幸いです。
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