印鑑制度編/日本での印鑑の役割

捨印って押していいの?押さない方がいいの?

印鑑を捺す行為は、単なる形式ではなく深い意味持つ場合がほとんどです。
なんとなく言われるがままに捺している場合も多いかもしれませんが、実はその1つ1つにきちんとした意味合いがあります。
また捨印やら消印やら契印など、一見して何を意味するのかわからない言葉も多いです。
いずれにしても印鑑を捺すという行為は、どんな場面でも責任が伴いますので慎重にご対応ください。

そして今回はそのうちの「捨印」についてご紹介します。
今回のブログでは捨印の意味や利点、また注意点についても解説してきますので、今後あなたが捨印を押すべきかどうかの判断にぜひお役立てください。

2015年3月25日に公開したブログですが、2024年3月25日にリライトしました。

捨印とは?

捨印とは、文書において後に発見されるかもしれない誤りを訂正するために、予め設定された捺印箇所以外の場所に印鑑を押しておく行為を指します。

わかりやすく言うなら、一種の訂正印です。
もし契約を交わした後で文書に誤りが見つかった場合、本来であれば本人の訂正印が必要です。
その場合時間と手間がかかる問題が生じます。
そのため事前に捨印を捺しておくことで、本人の訂正印がなくても文書の修正が可能となります。

つまり捨印とは、文書上で予期せぬ誤りを発見した際に、迅速な訂正を可能にするために、あらかじめ捺された印鑑のことです。
そして一種の「予備の訂正印」として機能し、文書が最初に作成された時点で未来の可能性を見越して準備さる印となります。

具体的には、例えばある不動産取引において契約書が作成され、その後で住所やマンション名などに小さな誤りが見つかったとします。
もし捨印が文書にあらかじめ捺されていれば、取引の当事者は迅速にその部分を訂正し、取引の進行をスムーズに続けることができます。

捨印のメリットは文書処理の迅速化

捨印の最大の利点は、文書処理の迅速化にあります。
文書内で訂正すべき箇所が見つかった場合、捨印があることで、訂正印を改めて押す必要がなく、訂正作業を素早く行うことが可能です。
これにより手続きの遅延を防ぎ、関係者間の効率的なコミュニケーションを促進します。

捨印のデメリットは文書改竄の可能性

一般的に捨印訂正の事後報告は受けないことがほとんどです。
みなさんもいかがでしょう?
「捨印を使用して文書の訂正した」と報告を受けたことはありますでしょうか?
ほとんどの方がないと思います。

捨印を捺すことは相手を信頼して訂正を任せるわけですが、自分が意図していない形で改竄されても気が付かない可能性もあります。

捨印って捺していいの?捺さない方がいいの?

ここまでをご理解いただいた上で、私自身の個人的な主観で申し上げますと「捨印を捺してもいい」と考えています。

もちろん内容を精査する必要はありますが、根拠としては、そもそも捨印で訂正できる箇所が限定されてる点にあります。
一般的に捨印での訂正は誤字脱字などの簡易な場合に限られ、日付・金額・名義などの契約書の中でも特に重要な内容に関しては、訂正できないようになっているからです。
そのため以下の場合においては捨印を捺しています。

  • 捨印の利用方法の確認できた場合(上記の通りの認識をしているか?)
  • すでに取引を重ね信頼できる方の場合
  • 役所や銀行などの公的機関の場合

つまり相手が捨印に対して正しい認識を持っているか、また信用しているかどうかの意思表示として捺しています。
また相手によっては捨印がないと書類が受理されない場合もあります。
そのため頑なに「危険だから捺さない」と言うよりは、相手を見極めた上である程度柔軟に対応した方が良いと思われます。

そもそも捨印は、担当者と契約者の手続きをスムーズに行う趣旨があります。
住所の1カ所書き間違えなどで書類を行き来させるのはお互い大変だから、前もって捨印を捺しておいて、細かい修正はそれで済ますためです。

最後に

今回のブログでは捨印を捺すか捺さないかに焦点を当ててご紹介してきました。
また捨印に関してさらに詳細な情報を得たい方のために、別の関連記事をご紹介します。
「捨印が怖いのではなく、本当に怖いのは・・・」では、公的文書の訂正に必須となる印鑑の安全性に焦点を当て、既製印を使用するリスクと、個別に作成された印鑑のメリットについて詳しく解説しています。
捨印の適切な使用法に加え、印鑑全般のセキュリティ対策についても知識を深めたい方は、ぜひ次の記事もご覧ください。

 

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