彫刻編/彫刻方法について知ろう

印章の彫り直し(改刻)は、材料にひびが入る可能性がありますのでご注意下さい。

ここではお問い合わせの多い、印鑑の彫り直しに際しての注意点を解説します。

象牙や水牛や石、そして意外に思われる人も多いチタンなどの印材は、彫り直すことができます。
ただ事前に知っていただいたいのは、新規のご注文と違ってリスクを伴うことです。
色々聞く範囲では、彫り直しを断られる場合が多いそうですが、理由はそのリスクです。
彫り直すためには材料がそれに耐え得る必要がありますが、経験値がないと判断が難しいのです。

大前提として私たちの考えは、ご家族が使われていた彫り直しても使え得る印材は思いが詰まっていますから、ぜひ継承していただきたいと考えています。
一方で彫り直しができない場合があることもご承知いただけますよう、今回のブログにまとめました。

 

彫り直しの際に熱が加わって、ヒビが入る可能性があります

彫り直しの際に、極端な例ではありますが、写真のようにヒビが入ってしまう恐れがあります。

結論から申し上げますと、原因は加工の際に印材に常に与えられる熱の影響です。
印材に限らずですが、全ての素材は熱で膨張します。
例えばガラスのコップに熱湯を入れると割れてしまいますが、これも熱膨張が原因です。
昔、真夏に線路が曲がったような現象も同様ですね。

彫り直しの際には、思っている以上に印材に熱が加わります。
骨で考えると想像しやすいかもしれませんが、若いうちはそれに耐えうる弾力性がありますが、長く使われていた印材の場合、経年と共に脆くなっていきます。
では次に彫り直しの全工程をご紹介しますので、どの程度の熱が加わるかをご理解ください。

彫り直しの全工程

大まかにまとめると、彫り直しは以下の工程を行います。

1.彫刻面を削る
2.彫刻面を平らに擦る
3.印材をざっくり彫る
4.彫刻面を平らに擦る
5.文字を削って仕上げる
6.バフで磨くみ

いずれの工程も程度の違いこそあれ、熱が加わります。
さらに詳しく知りたい方は以下のブログをご覧ください。

グラインダーなどで何かを削る際に、大きな熱が加わることは想像できると思います。
また熱の加わりを最小限に抑えるためには、冷ましたり冷やしたりなどのプロセスを間に挟む必要があります。
1つ1つは少しですが、一気に進めようとすると問題が起こる可能性が高まります。
また最初の工程「1.彫刻面を削る」箇所が最も熱が加わり、慣れていないと避けたい理由になります。

私たちはそれらを理解し、印材をお預かりした時点で判断しています。
全ての印材が彫り直しできるわけではなく、お預かりしてからご注文が確定になるのはそのためです。

 

彫り直せるかの判断材料

最後に私たちがお預かりして彫り直せるかどうかの目安にしている点をご紹介しておきます。

⚫︎彫り直しが可能:鈴印でお買い求めいただいた印
長期運用に耐え得るものしか扱ってないため、彫り直しは可能です
見せていただいてから判断:先代などが使われていた印
親御様などは引き継がれる場合は良い印材が多く、彫り直せる可能性が高いです
×お断りする場合が多い:中国などのお土産で安価で購入したいん
中国でもお土産品などは価格もお手頃ですが、ほとんどが彫り直しには耐えられません

他にも柘植やプラスチックは対応できません。
彫り直しができる印材の種類は以下のブログをご覧ください。

いずれにしても最終的には見せていただいてからの回答になりますこと、あらかじめご了承ください。

最後に

以上、ヒビが入る可能性や見方などをご紹介してきましたが、基本的には私たちが判断しますのでご安心ください。
まずはお送りいただき、事前に印材の確認いたします。
そして万が一お断りする場合もあることをご理解いただきたくブログにまとめました。

私たちは可能な限り、彫り直して継承されることをお勧めしています。
せっかく大切に受け継がれる品ですから、ぜひ生まれ変わらせてご使用いただきたいと思います。

ご注文は以下のページから。

 

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印章の彫り直し(改刻)は、材料にひびが入る可能性がありますのでご注意下さい。

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